おいしい京北を巡る旅
Writer: トラベルデザイナー 松下 裕美
京都の里山、京北で『触れる旅』
京都駅で新幹線を降り、バスまたは車で1時間半足らずで着く京北地区。
京都市内?と思わずにいられない、昔話の絵本からとび出してきたかのようなにかわいい茅葺の家々の姿が見えてきます。
そんな京都駅からもアクセスがよい京北で里山だからこそ味わえる人や食に触れる旅をご紹介します。
▷<らふ工房Cafe & Gallery 360>でアートに触れる
まず京北に着いて最初に訪れたのはオープンギャラリーを行なっているという工房カフェ、らふ工房Cafe & Gallery 360。
奥さまのゆきえさんが草木染めを、旦那さまの無垢さんが木工細工を専門にされているとあり、カフェスペースの設えもとても素敵。
こちらのカフェスペースではアンティーク家具に囲まれながら喫茶やランチをいただくことができます。
併設のGallery Shopに行くと、お二人の作品がずらりと並び、販売されています。どれもぬくもり感じる手仕事。
そのほか、国内外から旦那さまが集められたという古道具もあり、どれも本当に素敵なセンスのセレクトです。
いつまでも居られそうなとても心地よい空間でした。
◆らふ工房Cafe & Gallery 360
▷アロマオイルの工房<杉乃精>で香りに癒される
次に訪れたのは、こんなところで?!な、アロマオイルの工房さん。
自生している北山杉や、日本のローズウッドと言われる珍しい『クロモジ』、季節限定で柚子や山椒なども使ってアロマオイルを作っていらっしゃいます。
オープンエアな工房を覗かせていただくと、なんと…!!! アロマオイルを薪の火で炊いておられました。
道具たちも水道管やラーメン鍋を使って手作りなのだそうです。
できたての精油はハーバルでやさしくて…本当にいい香り。
アロマの香りで心癒されるひとときでした。こちらの工房の他、京都のいくつかの手づくり市にも定期的に出店されているようです。
◆杉乃精
▷素敵なご夫婦が営む<松橋雑貨店>でピザを味わう
お昼にはここ!と決めていたピザ工房の松橋雑貨店。
結婚を気に、田舎で子育てをしようと6年前に京北にご夫婦で移住して来られ、ピザと喫茶の工房をされておられるところで、ご自身たちでリノベーションされたという店内は、センスに溢れていました。
素敵過ぎて店内を見てるだけでも飽きません。
手書きのメニューには『蕗マルゲリータ』や『春の息吹』とどれも美味しそうと思うメニューばかり。手書きのメニューも素敵過ぎて撮りたくなります。
迷ってオーダーしたのは『春の息吹』。やっぱり春だからね。
ふすま粉を練りこんでいる生地を手で伸ばし、無添加のトマトソースを塗って。
具材には、春めくつくしにセリ、自家製のクリームチーズ、蕗のジェノベーゼソースなどこだわりのものたちが乗ります。
これを手作り(!)の煉瓦のピザ窯でじっくりと回しながら焼いていきます。
もうこの時点でよだれが出そう
焼きあがりました!
熱々を早速いただくと…春の風が口のなかに広がっていきました。
実は革小物職人でもあるご主人のジョンさんと、刺繍もお得意な奥様のかやさん。皮小物も見せていただきました。
ゆったりとした空気が流れる心地よいピザ・喫茶工房でした。
◆松橋雑貨店
https://m.facebook.com/matsuhashizakka/?locale2=ja_JP
松崎雑貨店でのんびりと過ごした後は今夜泊まるお宿さんへ向かいます。
▷父娘が紡ぐ 茅葺ののどかな古民家宿<農家民宿ほろろん>
京北には農家民宿さんや古民家宿がいくつかありますが、その中のひとつ「農家民宿ほろろん」さんへチェックイン。
歴史感じる立派な家屋。娘の頼子さんとお父様が運営されているホスト居住型民宿です。
お宿に着くと火の灯る囲炉裏でお湯が沸き、キッチンからはトントンと心地よい包丁の音が聞こえてきます。
この日の夕食は手巻き寿司!ちょうどこの時デンマークから木工修行にきているヨナスくんと、夕食の準備をお手伝いをしました。
お米は宿のお父さんが作られているもので、つやっつや!
それぞれ好きな具を選んで巻いて食べて、あたたかな食卓でした。
こちらのお宿では納豆発祥の地とも言われている京北名物「納豆餅」を作るプランがあります。
ちょうどお父さんが作った納豆餅があるとのことだったので、焼いていただきました。
納豆餅は、関西の納豆発祥地として知られる京北のお正月名物で。
お餅のなかに、塩漬けした地元のおいしい大粒納豆入れ、黒砂糖をまぶしていただきます。
香ばしくて納豆独特のくさみが全然なくて、ごろっと大粒の豆餅みたいな感じでした。焼いてくれたのは納豆嫌いさんでもたべれるように改良した「うずまきタイプ」。
本当の作り方も見たい!とのことで作っていただきました。
とろ火になっている囲炉裏部屋に移り、2日ほど前についたばかりという白餅をあぶります。
ぷくーっとなってきたら準備OK!きな粉を入れたお櫃に移して、あつあつを手で広げていきます。
お宿の近くにある「さきがけ」さんで作られた大粒納豆をどっさりと入れます。
餃子のように包んで、完成です♩
初めて食べた納豆餅。これはここだけでしか体験できません。
体験では本格的納豆餅と納豆が苦手な方でも不思議と食べれる渦巻きタイプの納豆餅が選べます。
翌朝は鶏さんの鳴き声とともにのどかな朝を迎えました。
ごはんだよーと呼んでいただき台所へいくと、朝食の用意がされてありました。
美味しそうな和朝食にここの鶏さんの新鮮な卵での卵かけご飯。
本当に贅沢な朝食。
朝食の後に鶏舎を見せていただきました。
あっという間にチェックアウトの時間。
おいしい時間を過ごせました。
◆農家民宿 ほろろん
今回体験した納豆餅づくり、卵かけご飯の他に野菜収穫や地鶏のさばき体験、豆皿作りなどができます。
詳しくはこちら
▷京北名物納豆を買いに<山国さきがけセンター>
チェックアウトした後はお父さんに教えていただいた、納豆餅にも使われた近くの納豆工房へ寄り道。
上桂川上流のきれいな水と、町内で育てた自家製大豆を使った納豆やお味噌、その加工品を作られています。
もちろん納豆を自宅用に♪
◆山国さきがけセンター
http://sakigake.net/
あっという間の1泊2日旅。人の温かさに触れる旅でした。
作った人の顔が見えて、丁寧に作られたものは本当に味わい深くて、本当の美味しさを感じることができました。
京北はまだまだ美味しいスポットがたくさん!日帰りでは分からない、里山の良さを一晩過ごして味わってくださいね。
京北にはほろろんさん以外にも素敵で個性豊かなお宿さんがあります。
自分たちのために出張料理人が作ってくださるシェフ・デリバリーのプランがあるお宿
昔ながらの暮らしを体験できる一棟貸し古民家宿
昔ながらの唐臼(からうす)で お餅つき体験ができるお宿
京北の春ももうすぐ。春にはこんな景色も見られます。
(※2019年4月中旬撮影)
次回もお楽しみに